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2018.1.24 : 草津白根山 噴火




23日午前9時59分ごろ、草津白根山(群馬、長野県境)の本(もと)白根山が噴火した。気象庁によると、鏡池付近で噴煙が上がり、周囲に噴石が落下した。本白根山での噴火は約3000年ぶりという。群馬県などによると、鏡池から数百メートルの草津国際スキー場(同県草津町)で訓練中だった陸上自衛隊の男性陸曹長(49)が噴石に当たり死亡、隊員7人とスキー客4人の計11人が重軽傷を負った。スキー場の山頂付近に外国人客19人を含む約80人が取り残されたが、全員が自衛隊などに救助された。
防衛省によると、訓練していたのは陸上自衛隊第12旅団第12ヘリコプター隊(同県榛東(しんとう)村)の隊員30人で、8人が飛んできた噴石に当たるなどした。このうち胸を強打した男性隊員1人が死亡。2人が重体、3人が骨折などの重傷を負った。2人は軽傷。
スキー場では、山頂とふもとを結ぶロープウエーを運行。噴石は山頂駅近くでゴンドラを直撃して窓ガラスを割り、男女の乗客2人が軽傷を負った。噴石はレストハウスの屋根も突き破った。噴石による送電線の切断で停電が発生し、ロープウエーが停止したため、自衛隊がヘリコプターなどでスキー客を救助した。
気象庁は23日、噴火後に草津白根山の噴火警戒レベルを1(活火山であることに留意)→2(火口周辺規制)→3(入山規制)と段階的に引き上げた。振幅の大きな火山性微動が観測されていたといい、鏡池付近から2キロの範囲では大きな噴石に警戒が必要とした
草津白根山は白根山、本白根山、逢ノ峰の総称で、1983年に白根山が水蒸気噴火した。2014年以降、火山ガス由来の成分の濃度上昇が続いていたため、火山活動が活発化しているとして、噴火警戒レベルを2に引き上げていたが、昨年6月にレベルを引き下げていた。
今回の噴火前に、事前のレベル引き上げは困難だったとしている。今後の見通しについて、同庁の斎藤誠火山課長は「噴火規模は大きくなく、継続的に活動している感じではないため、現時点で融雪型の火山泥流などの恐れはないとみている」と話している。



本白根山の火口底に積雪

23日に噴火した草津白根山の本(もと)白根山(群馬県草津町、2171メートル)の火口の底に積雪が見つかった。山頂上空から毎日新聞の取材ヘリで28日、確認した。専門家は「火砕流の痕跡が見えず小規模な噴火」と指摘している。
ヘリからは直線上に並んだ三つの火口が確認でき、うち一つでは大きな亀裂が入るように山肌がえぐれていた。火口周辺の木々は倒れ、火口の底には積雪が確認できた。噴煙などは上がっていなかった。
専門家らでつくる火山噴火予知連絡会によると、火口は東西約500メートルの範囲に広がり、複数に連なる火口は火口列で水蒸気噴火ではよくみられるという。
気象庁は今後も同規模の噴火が起こる可能性があるとして、火口の2キロ圏内は噴石が飛ぶ恐れがあり引き続き警戒を呼びかけている




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