2017.9.2 : 民進党代表選 . 代表に前原氏
民進党は1日、東京都内で臨時党大会を開いた。前原誠司元外相(55)が枝野幸男前幹事長(53)を破り、新代表に選出された。任期は2019年9月までで、任期中に衆院任期満了(18年12月)を迎える。次期衆院選への対応や、離党者が続出する党勢の立て直しが急務となる。10月には衆院3補選も控えており、就任直後から手腕が問われる。
前原氏は、国会議員、国政選挙の公認候補予定者、党員・サポーター、地方議員による投票の全てで枝野氏を上回った。合計得票はポイント換算で前原氏502ポイント、枝野氏332ポイントだった。このうち、今後の党運営に影響する国会議員票は前原氏が83票、枝野氏が51票で、党内では枝野氏が想定よりも善戦したとの見方が広まっている。一方、党自体への批判とみられる無効票が8票あった。
選出後のあいさつで前原氏は「開票結果を聞いて非常に難しい船出だという思いを強くした」と危機感をあらわにした。そのうえで、「自民党しか選ぶものがない政治状況は、我々の力で変えなければならない」と述べ、自民党に代わる政権選択の受け皿になる決意を示した。
前原氏は選挙期間中、次期衆院選に向けた共産党を含む野党協力の見直しに言及。前原氏は記者会見で「見直すと言ったことを含め、国会議員や党員・サポーターらに選んでもらった。重く受け止めたい」と語った。小池百合子東京都知事の側近が年内結成を目指す国政新党との連携に関しては「理念や政策に共鳴してもらえれば、協力するのは当然だ」と述べるにとどめた。
前原氏は執行部人事について「来週の早い時期に両院議員総会を開いて決める」と表明。枝野氏について「党運営に関わってほしい」と述べ、要職に起用する考えを示した。焦点となる幹事長には、挙党体制を築くためとして枝野氏の起用を求める声が出ているほか、大島敦元副総務相らの名が取りざたされている。
代表選は7月の東京都議選で民進党が惨敗し、党運営に行き詰まった蓮舫前代表の辞任表明を受けて実施された。前原氏は党内主要8グループのうち5グループの支援を受け、保守系議員を中心に支持を拡大。党員・サポーターや公認候補予定者らにも浸透し、選挙戦を終始リードした。【
野党再編を志向する前原誠司氏が民進党の新代表に選出された。党勢低迷を野党再編で打開したい党内の期待を反映したとみられる。安倍政権の失速は好機のはずなのに、野党第1党の存在感は薄い。
前原氏は代表選を通じて「党を再生するラストチャンス」と繰り返した。民進党が政権批判の受け皿になれなければ、文字通り、同党は歴史的な使命を終えかねない。
前原氏は1日、投票前の演説で「政権交代を実現しよう」と言おうとして言葉につかえた。昨年の代表選に立候補した際には、初挑戦の蓮舫氏より余裕があった。それに比べて今回、演説で肩に力が入りすぎた印象を受けたのは、党の存亡がかかる中で代表を担う重責を前原氏自身が感じたからかもしれない。
毎日新聞の全国世論調査では、「支持政党がない」と答える無党派層が、自民党の支持率を大きく上回る傾向が続いている。無党派層がどう動くかが内閣支持率に影響しており、民進党をはじめ野党の取り組み次第では、政治状況は変わる可能性がある。しかし旧民主党政権が終わった後、野党の離合集散を経て民進党になり、現在に至るまで、目指す理念が党内でバラバラな状態は解消されていない。これが有権者の支持を回復できない原因だろう。
次期衆院選では、小池百合子東京都知事に近い衆院議員が新党結成を目指している。野党再編が選択肢の一つだとしても、安易に流れる前に、まずは民進党の軸足を定める必要がある。風頼みでは党は縮小を続けるだけだ
・枝野氏を要職に起用して挙党一致体制を構築
・次期衆院選での共産党との選挙協力は新執行部で議論
・「小池新党」含め民進党の理念、政策に一致するところとは協力
・国会議員票で無効票が8票出たことに党運営への危機感を表明