2016.9.30 : 豊洲市場調査結果
東京都の小池知事は、豊洲市場の土壌汚染対策をめぐる問題で都が進めていた内部調査の結果を公表し、最大の焦点だった盛り土を行わない方針をいつ、誰が決定したかについて「ピンポイントで指し示すのは難しい」と述べ、特定できなかったと結論付けました。
そのうえで今後、公益通報制度を設けるなど原因究明や再発防止に向けた新たな対応を検討する考えを示しました。
小池知事は30日開かれた記者会見で、豊洲市場の土壌汚染対策をめぐる問題で都が進めてきた内部調査の結果を公表し、最大の焦点だった、建物の地下に盛り土をしない方針が決められた経緯について説明しました。
それによりますと、土壌汚染を継続的に点検するための作業空間「モニタリング空間」を地下に設ける案が平成20年から議論され、平成22年から25年にかけ土壌汚染対策の検討が本格化し、建物の設計を作成する過程で、平成23年8月にモニタリング空間を地下に設ける方針が部課長級の幹部会議で確認されたということです。
しかし、盛り土を行わない方針をいつ、誰が決めたのかについて、小池知事は「それぞれの段階の中で固まっていったものであり、ピンポイントで指し示すのは難しい」と述べ、特定できなかったと結論付けました。
また、敷地全体に盛り土をしていると事実と異なる説明を長年、続けていたことについて「議会や都民、市場関係者に説明責任を果たしたとは到底言えない」と批判したうえで、責任感の欠如や前例踏襲の姿勢、それに不透明な意思決定や、上司と部下、土木と建築、技術と事務職の連携不足など根本に組織運営上の問題があると指摘しました。
そして「職員みずからの手で調査を行ったことは評価するが十分かと言われれば十分ではない」と内容は不十分なものだとしたうえで「この報告書で終わりにするのではない」と述べ、今後、内部告発の受け皿を整備して公益通報制度を設けるなど原因究明や再発防止に向けた、新たな対応を検討する考えを示しました。
報告書では、当時の石原知事が地中にコンクリートの箱を埋め、その上に建物を整備する案について発言したことも触れています。
平成20年5月頃、当時の比留間市場長が、石原知事に対し、盛り土を敷地全体にするよう提言した「専門家会議」の提言を説明した際、コスト削減のため地中にコンクリートの箱である「ケーソン」を埋める案を検討するよう指示されたとしています。
その翌年の1月中旬に、比留間市場長が、コンクリートの箱を埋める案は、工事費がさらに数百億円高くなりコスト面で割合があわないと報告し、石原知事の了承を得たとしています。
こうした経緯以外にも、豊洲市場の地下の空洞と石原知事の発言との関連性はないという証言が複数あり、発言の影響はなかったという内容になっています。
小池知事は、「この報告書で終わりではない」としたうえで、今後も都庁内で当時の関係者の聞き取り調査を重ねるとともに、都庁の外部に弁護士による窓口を設けて、内部告発の受け皿となる仕組みを検討する考えを示しました。
このうち、外部の窓口は、都政改革本部で提案のあった「公益通報制度」を活用するもので、豊洲市場の問題以外にも、職員や都庁組織の法令違反の情報などを集めるものです。
これについて、小池知事は、「匿名、実名どちらもOKで、内部告発者が不利益にならない、あいつが言いつけたとならないようにする」と述べました。
また、職員の処分については、「状況を確認しないとできない」と述べ、現時点では原因の究明を優先する考えを示しました。
都議会をめぐっては、来週4日には代表質問、5日には一般質問と本会議での審議が続き、6日には市場を所管する経済・港湾委員会で、豊洲市場をめぐる問題について本格的な議論が行われる見通しです。
議会の追及によって、新たな事実が明らかになるかどうかも注目されます。