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2016.9.29 : 小池知事初の所信表明





東京都の小池知事は就任後初めてとなる都議会で所信表明を行い、「これまでの延長線ではない改革を不断に進め、東京の発展のため、改革マインドを根づかせねばならない」と述べ、情報公開の徹底や放漫な財政運営の見直しなど、都政改革を進める決意を示しました。
小池知事が就任後初めて臨む都議会は、28日開会し、午後1時からの本会議で所信表明を行いました。
小池知事は冒頭、豊洲市場をめぐる問題に触れ、「都政は都民の信頼を失ったと言わざるをえない」と指摘したうえで、「歴代の当事者たちが『聞いてなかった』と答える姿に多くの都民が嘆息を漏らした」として、都のこれまでの対応を批判しました。
そのうえで、「誰が、いつ、どこで、何を決め、何を隠したか、原因を探求する義務がある」と、問題解決に取り組む姿勢を強調しています。
そして、今後の都政運営について、「都庁の自己改革精神を呼び覚まし、これまでの延長線ではない改革を不断に進め、東京の発展のため、今ここで改革マインドを根づかせねばならない」と述べ、情報公開の徹底や放漫な財政運営の見直しなど、都政改革を進める決意を示しました。
一方、都議会との関係については、「なれ合いや根回しで事を丸く収めるのではなく、都民の前に決定過程をつまびらかにし、議論をぶつけ合うことが新しい都政における都議会の姿だ」としています。
このほか、4年後の東京オリンピック・パラリンピックについては、「なんとしても成功させる決意だ」と述べ、復興五輪の原点にも立ち返るとしました。
小池知事は、来月4日には都議会各会派からの代表質問に臨むほか、みずからの給与などを半減するための条例案や、待機児童の解消に向けた緊急対策の経費として、126億円の今年度の補正予算案を提出することにしています。

小池知事「議会との緊張関係必要」

 

小池知事は就任後、初めて行った所信表明について、「豊洲市場の問題が喫緊の課題であり、早く解決の道を探らなければならないため冒頭に引っ張り出した。まだまだ申し上げたいこともあったが、だいたい、長さはこれくらいだったと思う。皆さん大変、静かに聞いてくださったので、むしろ驚いている」と述べました。
また、小池知事は、都議会との関係について、「都議会議員も私も、ともに都民に選ばれている代表だ。ある種の緊張関係は必要であり、私は日本的な根回しは下手で、それは透明性を欠くことが多い。これからの都政に臨む姿勢を強調した」と述べました。

都議会 各会派は

 

都議会自民党の高木啓幹事長は「思いのこもった所信表明だったと思う。知事が目標とする『都民ファースト』と、私たちの『都民の与党』という考えは言葉は違うが思いは一緒だ。協力できるところはしっかり協力し、切磋琢磨(せっさたくま)していきたい」と話していました。
都議会公明党の東村邦浩幹事長は「都政に対する強い決意と思いを感じ取ることができた。ただ、後半は、歴代の知事の所信表明を焼き回したように感じた。医療・福祉の分野について今後しっかり議論していきたい」と話していました。
共産党都議団の大山とも子幹事長は「都民本意の都政はとても重要なので実現してほしいが、暮らしや福祉をどう充実させるかについては具体的な言及がなかったという印象だ。豊洲市場の問題については移転中止を含めて最良の選択を求めていきたい」と話していました。
都議会民進党の尾崎大介幹事長は「初の女性知事で新鮮味があった。東京オリンピック・パラリンピックについて未来に残せるレガシーを構築すべきという点はこれまで訴えてきたので評価している。豊洲市場の問題は不信感を払拭(ふっしょく)するため徹底した情報公開を求めたい」と話していました。

傍聴席は満席

 

小池知事が就任後初めて臨んだ28日の都議会の本会議では、議場の傍聴席が満席となり都民の関心の高さがうかがえました。
東京都議会局によりますと、本会議が始まる4時間前の午前9時ごろから傍聴を希望する人たちが受け付けに集まり始めました。そして、正午から186席分の傍聴券がすべて配られ、 中には傍聴券を受け取れず議場に入れない人もいたということです。傍聴した新宿区の81歳の男性は「豊洲市場をはじめ、オリンピックや福祉の問題などにしっかり対応してもらえるよう小池知事には期待したい」と話していました。

歴代都知事の所信表明は

 

小池知事の28日の所信表明はおよそ40分間でした。過去の知事も、就任後、初めての都議会で今後の都政に臨む施政方針や所信を述べています。 石原知事は、平成11年6月の第2回定例会で所信表明をしました。この中で、石原知事は、当時、景気が悪化して都の財政が危機的状況にあり職員の定数削減や給与のカットに加え歳出の見直しなど構造改革に取り組むと強調しました。石原知事の所信表明は、35分間でした。 猪瀬知事は、平成25年2月の第1回定例会で施政方針を述べました。この中で、猪瀬知事は、ヤマ場を迎えていた、オリンピック・パラリンピックの招致に全力をあげるとしました。猪瀬知事の方針説明は、1時間16分におよびました。議会側に伝えていた当初の予定時間のおよそ45分間を大幅に上回ったため、議員側が「いかがなものか」などと苦言を呈す場面も見られました。 舛添知事は、平成26年2月の第1回定例会で施政方針を述べました。舛添知事は、防災対策や福祉に力を入れるとしたうえで、東京オリンピック・パラリンピックの成功に向け取り組むことを強調しました。舛添知事の方針説明は、25分間でした。



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