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2016.9.28 : 代表質問



衆院代表質問 民進党の野田幹事長


民進党の野田佳彦幹事長は27日、衆院本会議での代表質問で、税と社会保障の一体改革に関する2012年の民主(当時)、自民、公明3党合意など野田政権の政策を軸に論戦を挑んだ。
野田氏が首相と国会で対決するのは、2月19日の衆院予算委員会以来、約7カ月ぶり。
野田氏は、消費税率10%への引き上げを再延期せざるを得ないのは、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の失敗が原因と指摘。「私が政治生命を懸けて取り組んだ3党合意も風前のともしびとなってしまった」と首相を批判した。
さらに財政健全化への道のりはより険しくなったと述べ、「後世、厳しく糾弾されるだろう」と警告した。
これに対し、首相は「国と地方を合わせた税収は野田政権時代より21兆円増えた」と述べ、2020年度に国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する財政健全化目標を堅持する方針を重ねて示した。

野田氏は5月に成立した改正公職選挙法による衆院議員定数の10減について「少なすぎ、遅すぎだ」と述べ、さらなる削減を主張した。定数削減は、野田氏が首相在任中の12年11月の党首討論で、当時野党だった自民党総裁の安倍氏に対し、衆院解散と引き換えに翌年の通常国会で実施するよう確約を求めた「因縁」のテーマだ。その後の衆院選で民主党は惨敗し政権から転落。民進党内の風当たりが強い野田氏としては、削減に後ろ向きな自民党の姿勢を際立たせ、一矢報いたいところだった。
しかし、首相は「政治の責任とは何か。実現させていくことだ」と10減を成果として強調。「言葉をいくら重ねてもゼロはゼロだ。それでは政治への信頼は失われる」と切り返した。
民主党政権が交渉参加の検討を始めた環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を巡っても、両氏の主張は対立した。野田氏は「国益を考えると交渉参加に踏み切れなかった」と野田政権の判断を説明。自民党が野党の時にはTPPに反対していたことを持ち出し、「5項目の聖域は守られず、自動車分野のメリットも少ない。自民党に交渉力があるというのは手前みそだ」と追及した。今の協定案に民進党として反対することも表明した。
首相は「決断すべき時に決断し切れないという過去の轍(てつ)は踏まないように全力を尽くしたい」と民主党政権の対応を逆に批判した。



参院代表質問 民進党の蓮舫代表

安倍晋三首相の所信表明演説に対する各党代表質問が28日、参院本会議でも始まり、民進党の蓮舫代表が就任後初めて国会論戦に立った。蓮舫氏は「提案」の言葉を多用し、「批判」が目立った党のイメージ刷新を試みた。10月の衆院東京10区、福岡6区両補選や、年明けとの観測も流れる衆院解散・総選挙に向け、党勢回復への足がかりを得たいためだ。しかし、雇用回復や賃金上昇の数字を列挙する首相の恒例の答弁との論戦はかみ合わなかった。
今の時代に合った経済政策が必要だと強く提案する」。蓮舫氏はアベノミクスの転換を求めた。8月閣議決定の事業規模28・1兆円の経済対策などの財政出動を「旧来型」とし、その繰り返しでは人口減少社会の経済成長は見込めないとの主張だ。「教育、雇用、老後の不安を取り除いて初めて個人消費が動き出す」とし、再分配強化が経済成長につながるとした。
「人への投資」は民進党が参院選で掲げた政策。しかし、共産党などと足並みをそろえて「安倍政権での憲法改正反対」などを前面にした結果、十分浸透しなかった。蓮舫氏はこの反省に立ち、党の独自政策提案を重視。代表質問では憲法改正に一切触れなかった。
首相は経済対策について「民需主導の持続的な経済成長につながる政策が中心で、指摘は当たらない」と反論。参院選の勝利は「アベノミクスを一層加速せよと国民から力強い信任をいただくことができた」と蓮舫氏の追及を一蹴した。
蓮舫氏は保育士給与を5万円引き上げる法案を民進党などが国会に提出しているのに対し「政府・与党が全く向き合ってくれなかった」とただした。しかし、首相は「恒久財源の確保策が明らかになっていない」と問題点を指摘。蓮舫氏の「提案路線」についても「重要なのは言葉を重ねることではない。100の言葉より1の結果だ」と皮肉る余裕も見せた。
蓮舫氏は、首相の所信表明演説に「行政改革の文字が1文字もない」とかみついたが、首相に「行革の重要性は論をまたない。今後ともしっかりと取り組む」とかわされた。
蓮舫氏は本会議後、記者団に「27日の野田佳彦幹事長は24回、私は22回提案したが、首相は自画自賛で終わった」と語った。自民党の高村正彦副総裁は記者団に、民主党政権が公約を実現できなかったと指摘し「実現可能なことに重きを置いた提案をしていただきたい」とけん制した。


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