Forest Studio

2018.8.15 : 終戦73年、平成最後の戦没者追悼式

終戦から73年を迎えた8月15日・終戦記念日、政府主催の全国戦没者追悼式が東京都千代田区の日本武道館で開かれました。天皇、皇后や安倍晋三首相、遺族約6000人が参列し、310万人の戦没者の冥福を祈りました。
来年(2019年)4月末の退位を控え、最後の追悼式出席となる天皇はそのことばの中で「戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ、過去を顧み、深い反省とともに、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願う」と述べるとともに、「深い反省」という言葉を4年連続で使い、「世界の平和とわが国の一層の発展を祈ります」と述べました。
一方、安倍首相は式辞で「今日の平和と繁栄が、戦没者の皆さまの尊い犠牲の上に築かれた」と追悼し、「戦争の惨禍を二度と繰り返さない。歴史と謙虚に向き合い、どのような世にあっても、この決然たる誓いを貫く」と述べました。
しかし、安倍首相は歴代首相が踏襲してきたアジア諸国への「損害と苦痛」や歴代首相はもちろん天皇も4年連続で言及した「深い反省」という言葉は逆に6年連続で触れませんでした。
厚生労働省によると、今年の参列予定の遺族は2~102歳の5455人で、戦没者の子どもが過半数の2864人と最多。平成元年(1989年)に3269人と約半数いた妻は13人まで減った。一方、45人しかいなかった戦後生まれの人は1554人と過去最多となった。112人いた父母の参列は2010年を最後に途絶えている。
追悼される戦没者は、1937年に始まった日中戦争と、その後の第二次世界大戦で犠牲になった軍人と軍属など合わせて約230万人と、民間人約80万人、の計約310万人。

天皇陛下のお言葉全文

本日「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり、全国戦没者追悼式に臨み、さきの大戦において、かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします。
終戦以来既に73年、国民のたゆみない努力により、今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが、苦難に満ちた往時をしのぶとき、感慨は今なお尽きることがありません。
戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ、ここに過去を顧み、深い反省とともに、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い、全国民と共に、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。

 

安倍首相の式辞全文

天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、戦没者のご遺族、各界代表、多数のご列席を得て、全国戦没者追悼式を、ここに挙行致します。
苛烈を極めた先の大戦において、祖国を思い、家族を案じつつ、戦場に倒れたみ霊、戦禍に遭い、あるいは戦後、遠い異郷の地で亡くなったみ霊、いまその御前にあって、み霊安かれと、心より、お祈り申し上げます。
今日の平和と繁栄が、戦没者の皆様の尊い犠牲の上に築かれたものであることを、私たちは片時たりとも忘れません。改めて、衷心より、敬意と感謝の念をささげます。
いまだ帰還を果たしていない多くのご遺骨のことも、脳裏から離れることはありません。一日も早くふるさとに戻られるよう、全力を尽くしてまいります。
戦後、わが国は、平和を重んじる国として、ただ、ひたすらに歩んでまいりました。世界をより良い場とするため、力を尽くしてまいりました。
戦争の惨禍を、二度と繰り返さない。歴史と謙虚に向き合い、どのような世にあっても、この決然たる誓いを貫いてまいります。争いの温床となるさまざまな課題に真摯(しんし)に取り組み、万人が心豊かに暮らせる世の中を実現する、そのことに、不断の努力を重ねてまいります。今を生きる世代、あすを生きる世代のために、国の未来を切り開いてまいります。
終わりに、いま一度、戦没者のみ霊に平安を、ご遺族の皆様にはご多幸を、心よりお祈りし、式辞といたします。


トップ