2018.4.21 : 都市型スポーツ
2020年東京五輪で初めて採用されるスケートボードなど都市型スポーツが集う国際大会「FISE(フィセ)」が広島市民球場跡地で行われ、2日間で7万人を超える観客が集まった。新しいスポーツを一堂に集め、若者がにぎわう空間を創り出すという従来の五輪にはない手法が、日本になじむか懸念もあったが、予想以上の盛況に東京五輪での集客も期待できそうです。
大会は7、8の両日に行われた。球場跡地には七つの種目ごとにコースが設営され、競技が同時進行した。軽快なロックやヒップホップの音楽が流れ、選手たちは曲芸のような技や動きを次々と繰り出す。観客は無料で入場でき、立ち見で移動しながらお気に入りの競技を楽しんだ。
国際オリンピック委員会(IOC)は五輪の未来像を「若者を重視し、アーバン(都市型)で、多くの女性が参加するもの」と描く。そのモデルとなったのがFISEだ。1997年にフランスで始まり、仏国内では50万人以上の集客力を誇る。世界展開を進めるFISEは東京五輪による相乗効果を期待して、日本で初めて開催した。創始者のアンドレブノワ氏は
「観客の反応も良く選手のレベルも高い。期待通りの結果。間違いなく来年も開催できる」と満足げだった。
東京五輪では臨海部に都市型スポーツを集約させる「アーバンクラスター」を進める。スポーツクライミングと3人制バスケットボールが青海、BMXとスケートボードは有明が会場となる。FISEを通じて課題も見えた。野外に設営されたコースは雨が降ると滑りやすく危険なため、競技中止や延期に何度も追い込まれた。組織委はコースを覆う天蓋(てんがい)の設置を検討しているが、新たな費用は悩みの種。
警備も難しい。FISEは二次元コードで観客の入退場を管理したが、五輪のような厳重な手荷物検査は行われていない。東京五輪では有料と無料ゾーンに分かれるほか2キロ以上離れる2会場を歩道でつなぐ計画で、管理が複雑になる。広島の熱気を再現するにはさらなる創意工夫が求められそうです。