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日米首脳 北朝鮮への圧力



安倍総理大臣は、アメリカのトランプ大統領と会談したあと、そろって記者会見し、北朝鮮に対する圧力を最大限まで高めることで一致したとしたうえで、北朝鮮の35団体・個人の資産凍結を、7日、政府として決定することを明らかにしました。また、日米の貿易や投資などについて、今後、両国の経済対話の枠組みで、さらに議論を重ねることを確認したと説明しました。
この中で、安倍総理大臣は「北朝鮮をはじめ緊迫する地域情勢にあって、今回のトランプ大統領の初めてのアジア歴訪は歴史的な訪問だ。その最初の地が日本であり、2人で日米同盟の揺るぎない絆を世界に向かって示すことができた」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は、一連のトランプ大統領との会談について、「十分な時間をかけて北朝鮮の最新の情勢を分析し、今後とるべき方策で完全に見解の一致をみた。『すべての選択肢がテーブルの上にある』というトランプ大統領の立場を一貫して支持する。改めて、日米が100%ともにあることを力強く確認した」と述べました。
さらに、安倍総理大臣は「北朝鮮の政策を変えさせるため、日米が主導し、国際社会と緊密に連携して、あらゆる手段を通じて北朝鮮に対する圧力を最大限まで高めていくことで完全に一致した」と述べたうえで、両首脳が、中国がさらに大きな役割を果たすことが重要だという認識で一致したことを明らかにしました。
そして、安倍総理大臣は「誰も紛争など望んでおらず、私もトランプ大統領もそうだ。しかし、北朝鮮は国際秩序に挑戦し、挑発を繰り返しており、北朝鮮の側から『政策を変えるので話し合いたい』という状況をつくることが極めて大事だ」と述べ、北朝鮮に対する日本独自の制裁措置を強化するため、北朝鮮の35団体・個人の資産凍結を、7日、政府として決定することを明らかにしました。
また、安倍総理大臣は、日本の防衛力の強化に関連して、「アジア太平洋地域の安全保障環境が厳しくなる中で、日本の防衛力を質的に、また量的に拡充していかなければならない。F35もそうだし、新型の迎撃ミサイル『SM3ブロック2A』もアメリカからさらに購入していくことになるだろう」と述べました。
さらに、安倍総理大臣は、記者団が北朝鮮から発射されたミサイルの迎撃に関して質問したのに対し、「われわれは、迎撃の必要があるものについては迎撃する。いずれにせよ、迎撃を行う際にも日米は緊密に連携している」と述べました。
一方、安倍総理大臣は、日米の貿易や投資などについて、両国の経済対話の枠組みでさらに対話を深化させ、活性化に向けた議論を重ねることで一致したとし、「トランプ大統領とともに、2国間の貿易だけでなく、アジア太平洋地域に広がる、貿易・投資における高い基準のルール作りを主導していく」と述べました。
また、安倍総理大臣は「インド太平洋地域の海洋秩序の維持・強化は地域の平和と繁栄にとって死活的に重要であり、日米で自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力を強化することで一致した」と述べたうえで、ベトナムでのAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議や、フィリピンで開かれる東アジアサミットでも、こうした考え方に基づいて日米で議論を主導していく考えを示しました。

自民「意見交換の場を増やすことが必要」

自民党の二階幹事長は国会内で記者団に対し、「日本や国際社会が直面する最大の問題点である北朝鮮問題について、十分な意見交換ができたのではないか。日米同盟が強固であることは、両国や世界にとって安心感を与えるので、今後もトップどうしが頻繁に会い、ゴルフなども大いに活用し、意見交換の場を増やしていくことが必要だ」と述べました。
また、二階氏は「トランプ大統領が拉致被害者の家族に会って痛切な思いを共有したことに感謝を示したい。また、貿易や経済活動については、お互いにウィンウィンの関係を築いていくことが必要だ」と述べました。

公明「揺るぎない絆確認 世界に示せた」

公明党の山口代表は国会内で記者団に対し、「北朝鮮の問題に、日米同盟の固い絆、揺るぎない絆を確認し、世界に示すことができた。日米の絆をもとに、中国やロシアなどとの連携を深めて、北朝鮮問題の解決にあたってもらいたい。拉致被害者のご家族とトランプ大統領の面会も、非常に温かい配慮を感じた。拉致問題に、アメリカとしても関心を持って解決にあたってもらえる望みが出てきたことは、大変好ましい」と述べました。
一方、山口氏は「北朝鮮の現実の脅威が、まかり間違えば、具体的な被害が起こりかねないところまで来ていることを考えた時に、防衛装備品の購入を検討することは、日本の防衛力を整えるためには大切な視点だ。一方で、アメリカ側としては、貿易の不均衡を解消するために重要な機能を持っており、双方の折り合う範囲を真摯(しんし)に求めていくことが重要だ」と述べました。

立民「国会で説明求める」

立憲民主党の福山幹事長は国会内で記者団に対し、「北朝鮮情勢が緊迫する中、日米の首脳が緊密に話し合ったことは、率直に評価したい。北朝鮮への圧力を高めることは、一定の評価をするが、武力行使のオプションを避け、圧力を高めることが対話につながるよう期待したい。記者会見の内容だけでは詳細がわからないので、安倍総理大臣には国会で国民への説明を求めたい」と述べました。
そのうえで、福山氏は、日本の防衛力の強化に関連したトランプ大統領と安倍総理大臣の記者会見での発言について、「軍事力の強化として、アメリカが日本に何を買ってほしいと言っているのか詳細ではない。安倍政権になって防衛費は膨れ上がっており、価格と有効性をしっかりとチェックしていきたい」と述べました。

希望「拉致問題 一定の評価」

希望の党の大島幹事長はコメントを発表し、「北朝鮮に対し、日米の緊密な連携のもと、圧力強化の方針で合意したことは、わが国の国益の見地から、制裁や圧力は対話を導くための手段であるという、これまでの方針が確認されたと受け止めている。拉致問題に関しては、アメリカの協力が改めて期待できることになったことは、一定の評価をしたい。ただし、通商問題では、今後の両国の経済交渉に不安を抱かせるもので、政府は、アメリカに対し、安易に妥協すべきではない」などとしています。

共産「本当の打開の方策打ち出されず」

共産党の志位委員長は記者会見で、「最大の懸案の北朝鮮問題では、外交的解決の方策は一切、語られず、両首脳から、本当の打開の方策は打ち出されなかった。ひと言で言うと、『危険な無策があらわになった』と言わないといけない」と述べました。
また、志位氏は、北朝鮮による拉致問題に関連して「トランプ大統領は『軍事攻撃があった場合に拉致被害者をどう守るのか』という答えがなかった。非常に深刻なところで答えを持ってないことが露呈した」と述べました。
さらに、志位氏は、日本の防衛力の強化に関連したトランプ大統領と安倍総理大臣の記者会見での発言について、「異常なやり取りだった。『もっと兵器を買え』と公然と言い、その場で『そうしましょう』というやり取りだけが目立つ。日本が兵器を増やして軍事で構えるということになれば、『軍事対軍事』の悪循環・緊張がエスカレートし日本側が拍車をかけることになる」と述べました。

維新「圧力かけなが対話の糸口を」

日本維新の会の馬場幹事長は国会内で記者会見し、「会談を重ねるごとに中身の濃い会談になっているように見える。今後、二国間協議で貿易問題を詰めていかなければ、経済・産業界に大きな影響を与えるのは必至なので、さらに突っ込んだ議論を期待したい。北朝鮮問題について、圧力をかけながら対話の糸口を作っていくことは日本でもできる話なので、今後も、アメリカとは、よく連携をとって、アジアの安全保障をいかに守っていくか、議論していただきたい」と述べました。

社民「外交努力こそ必要」

社民党の又市幹事長はコメントを発表し、「北朝鮮への制裁や圧力ありきではなく、対話に向けた粘り強い外交努力こそ求められている。トランプ大統領の過激な言動や米韓合同軍事演習を慎むよう忠告し、戦禍を防ぐよう全力を挙げるべきだ。また、アメリカからの防衛装備品の購入については、『北朝鮮からの脅威』を口実に、トランプ大統領に迎合して進んで負担を買って出る姿勢は極めて遺憾だ。日本がみずから進んで軍拡路線を歩み、これ以上の防衛費の増額や、違憲の『戦争法』に基づく日本の役割拡大を進めていくことは、断じて許されない」などとしています。

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